ザ・コア : 責任こそがリーダーの条件だ

原題:The Core

公開:2003年

時間:135分

監督:ジョン・アミエル

出演:アーロン・エッカート / ヒラリー・スワンク / デルロイ・リンドー / スタンリー・トゥッチ

評価:★★★★☆

Trailor  予告編

ド・リンク

First Impression まえがき

世紀の変わり目の2000年前後に数多く作られた地球規模ディザスター・パニックもののひとつ。

どこかで見た設定のオンパレードであり、この初見でも「あれ、この映画見たよね?」と勘違いしてしまいそうになる。しかし見ていくうちに乱造されたパニックもの兄弟よりは、ひとつふたつ頭が飛び出ていること気づくはず。

ダメな部分もなくはない。だがそれを帳消しにしてくれる面白さがこの作品にはあるのだ。

主演は『アイ・フランケンシュタイン』ことアーロン・エッカートと、『ボーイズ・ドント・クライ』などで着実にキャリアを積んでいたヒラリー・スワンク。スワンクが『ミリオンダラー・ベイビー』で大女優の仲間入りを果たすのは、この『ザ・コア』の公開から約二年後となる。

Plot 前半のあらすじ

地球物理学者のジョシュア・キーズ博士(アーロン・エッカート)はシカゴ大学での講義の最中、政府の方から来た二人に半強制的にワシントンD.C.のとあるに連行された。

その施設の中には数十人の遺体が安置されていた。責任者のパーセル将軍によればこれらの遺体はボストン市民であり、10ブロックの範囲内で同時刻に一瞬にして突然死したのだという。

ジョシュアはそれがペースメーカーの故障によるものだと喝破する。パーセル将軍は電磁パルス兵器による攻撃を疑っていたが、ジョシュアはそんな高電磁波を出力できる兵器など存在しないと一蹴した。パーセルは戦争行為でないなら問題ないとして、早々にジョシュアとの会話を打ち切ってしまう。

ジョシュアはこの奇妙な現象の原因についてさらなる調査を開始した。そしてロンドンやオーストラリア、日本で起こった鳥の大量死事件から原因は地球地磁気の乱れにあるのではないかと疑い始める。

一方その頃、大気圏外ではスペースシャトル・エンデバーが地球への帰還を果たそうとしていた。

乗組員レベッカ・チャイルズ(ヒラリー・スワンク)は、船長ロバート・アイバーソン(ブルース・グリーンウッド)に対し、「降下の操縦を私に」と依頼するが、ロバートは「できても任せられない」と断る。「着陸は船長の仕事だ」と。

大気圏内降下は成功したエンデバーだが、計器は正常であるにも関わらずコースが外れていることに気づく。着陸まで二分、そのままのコースではロサンゼルスのダウンタウンに直撃しかねなかったが、レベッカの計算によってロサンゼルス川に降下。エンデバーは最小限の破損で不時着した。

レベッカはこの不時着の件で軍の審問を受けることになる。レベッカは何やら騒がしくなっていた海洋大気局まで出向きパーセル将軍に相談を持ちかけるが、パーセルは私にもどうにもできないと突き放す。気落ちしたレベッカが局の建物から外に出ると、ワシントンD.C.のような低緯度では見られないはずのオーロラが夕暮れの空にはためいていた。

その夜高エネルギー武器の専門家である友人のレベック博士と飲んでいたジョシュアは国防総省への会議に召喚される。このところ起こっている数多くの奇怪な現象について説明を求められたジョシュアは結論から話した。「一年で人類は滅亡する」と。

Review 批評と解説

SF映画は平気で嘘をつく

特に最近のアメリカ映画においてSFガジェットが入らないことのほうが珍しい。そしてSFが混じっている作品には必ず「嘘」や誇張が入っている。たとえどんな作品でもだ。しかし嘘があるからといって、その作品がすぐに「二度と俺の前に姿を見せんなよこのクソ映画!」のリストに入るかといえばそうではない。

むしろ適度な嘘が作品の質を高めてくれることさえある。例えばミレニアム・ファルコンが宇宙空間を進み、またビームや爆発にもかかわらず、それを無音のスクリーンで鑑賞しなければならないとしたら興ざめだ。スピルバーグは「俺の宇宙では音はするんだよ」と言ったらしい。全く科学的ではないが完全に正しい発言である。

『ザ・コア』は科学的に見れば出鱈目な部分のほうが多い作品だ。

ほぼ一瞬で岩石や鉱物を融解するレーザーや、地中深く潜っても地上との連絡が途絶えない通信システム、そしてマントルや外核の熱と高圧力に耐えられる船などは現実的に有り得ない。

だがそんなことはこの映画にとってそれほど重要ではない。『ザ・コア』はそれらへの疑念があったとしてもとても面白いのだ。なぜならこの作品は人間ドラマの部分が非常にしっかりしているからだ。『ザ・コア』のコアはSFガジェットではない。単純ではあるが普遍的な人間ドラマなのである。

レベッカの成長

『ザ・コア』の主人公はアーロン・エッカートが演じるジョシュア・キーズ博士だが、主役はヒラリー・スワンク演じるレベッカ・チャイルズ空軍少佐だ。

レベッカはキャリアと昇進を求めているエリートである。彼女はいずれプロジェクトのリーダーになりたいと考えている人物であり、そのために高い能力を得ようと努力している。だから自分の機知によるエンデバーの破損についてパーセル将軍へ上層部への口利きを頼んだ際、断られたことに大きなショックを受けた。自分のキャリアが台無しになると思ったのだ。

しかし軍の審問はレベッカの行動に瑕疵なしと認めた。そしてさらに自身をつけたレベッカは自分の卓越した能力によって地宙船バージルを上手く操り、地磁気再起動計画を成功に導こうとする。

そこへバージルの操縦シミュレーションを見に来た船長ロバートに対し、レベッカは「説教しに来たんですか?」と嫌味を言う。エンデバーの一件で、ロバートよりも自分のほうが上手くやれると自負していたからだ。

そんなレベッカに、ロバートは「リーダーの条件は技能ではない。責任だ」と返す。それを船長の弁解だとしか受け取っていないレベッカに「君は分かっていない」とロバート。そして「君が理解できないのは、君が敗北を知らないからだ」とも。

この作品の折り返し地点がここである。

このシーンで、『ザ・コア』はややもするとおバカな単なるディザスター映画になりかねなかったのを、上手に回避した。

この後ロバートの死を通して「敗北」と「責任」を知ったレベッカは船長としての責務を全うしていく。レベッカの決断によって他の船員たちの献身も、地上のクルーの自覚も鮮烈に生かされ、促され、ドラマになるのだ。映画の主役はレベッカなのである。

Afterword さいごに

確かに映像は2003年の映画だということで割り引いても安っぽい。地球規模のプロジェクトなのに結局アメリカ人だけでやってしまうのは如何なものかとかも思わないでもない。

だがこの作品には、我々がディザスター映画で見たいことの全てがあって、それを上手に見せてくれている。ディザスター映画にはアメリカ人的能天気さが不可欠だ。もちろんそれはバカっぽくはあるが、多分我々はその能天気さが大好きである。それはそこに未来への希望が詰まっているからなのだ。

ICカード 干渉防止 磁気防止 スキミング 防止 磁気シールド カードプロテクター
created by Rinker
ド・リンク