『SUPER8/スーパーエイト』 :時にはノスタルジーに浸って

評価 ★★★★★ 
原題 Super 8 
公開 2011 
時間 111 min 
監督 J・J・エイブラムス 
出演 ジョエル・コートニー 
カイル・チャンドラー 
エル・ファニング
 
ライリー・グリフィス 

Trailer :予告編

ド・リンク

First Impression :まえがき

ジュブナイルSF物だが、大人も楽しめる作品。

J・J・エイブラムスとかスピルバーグみたいなやつらが手を組んで作ると、やっぱり素晴らしい作品が出来るんだなと唸らせられる一品。

『E・T』や『スタンド・バイ・ミー』を彷彿させるようなノスタルジーを味わわせてくれる。そういう意味では実は対象年齢は40代50代なのかもしれない。

主演はこの映画が初主演作のジョエル・コートニー。このジョエル・コートニーは2018年になってもまだエイリアンと戦っている。

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なおヒロイン役のエル・ファニングはダコタ・ファニングの妹だそうな。ふたりはあまり似ていないような気がする。

Plot :前半のあらすじ

時は1979年。14歳のジョー・ラム(ジョエル・コートニー)は母親を職場の事故で亡くした。傷の大きいジョーは葬式後の自宅での会食にも参加せず、母の形見のロケットを眺め、独り外で過ごしていた。

そこへ母親の同僚のルイス・デイナードがやってくるが、ジョーの父親で副保安官のジャック(カイル・チャンドラー)は私怨で不法侵入として彼を捕まえ、パトカーで保安官事務所へ連れて行くのだった。ジョーの母親が事故に遭った日、本来はルイスのシフトだった。ルイスはその日職場に酒を飲んで現れたため、ジョーの母がやむなく仕事に入ったのだった。

4ヶ月後、ジョーは友人のチャールズ(ライリー・グリフィス)に頼まれて自主制作のゾンビ映画の撮影に協力していた。ジョーの担当はメイク係で、模型を作るのが好きなジョーにとってはうってつけの役柄だった。

チャールズは映画にリアリティを加えるため、主人公の妻役としてアリスという女の子をキャストに加えることにしたという。アリスは、ジョーの母親とシフトを変わったあのルイス・デイナードの一人娘だった。チャールズは今夜0時にアリスのシーンの撮影をすると、ジョーに夜中家から抜け出すように約束させた。

約束の時間、ジョーとチャールズ、そして撮影に参加するプレストン、マーティン、ケアリーもアリスを待ち受ける。だが父親ルイスの車を運転して現れたアリス(エル・ファニング)は、ジョーがその場にいることを批難した。ジョーは副保安官の息子だから、自分が無免許で車を運転してきたことを親に告げ口するに違いないと。

絶対にチクったりはしないと約束するジョーを渋々受け入れたアリスは皆を乗せて撮影場所の駅に向かった。ジョーがアリスを軽くメイクし、リハーサルに入るとプロの俳優顔負けの演技をするアリスに皆の目は釘付けになった。

そこへ深夜の貨物列車が警笛を鳴らして駅へと近づく。監督チャールズは画面に列車を入れたいと急遽カメラで撮ることを指示。列車を背景に本番を撮影し始める。

マーティンとアリスの演技を尻目にガンマイクを構え、列車が走っていく様子を眺めていたジョーはなにか様子がおかしいことに気づく。走る列車の前にピックアップトラックが飛び出し線路を塞いだのだ。

ピックアップに衝突して列車は脱線。機関車の急激な減速と衝撃で後続の貨物車両は跳ね飛ばされ、燃料の入った貨車は爆発し、撮影するジョーたちに襲いかかった。

吹っ飛んでくる車両や破片を掻い潜って辛くも死を免れたジョーだったが、横転した車両の中から大きな音を発せられ、何かが車両の扉を跳ね上げているのを目撃する。

我に返ったジョーは静かになったその横転車両を後にし、幸い大した怪我もなく無事だったアリスやチャールズたちと合流する。

ジョーたちが線路を塞いだピックアップトラックを見に行くと、中にはひとりの老年の男性が怪我をしてハンドルにもたれかかっていた。見覚えのあるトラックと容貌に、ジョーたちはそれが生物学の教師ウッドワードだと気づく。

あまりの怪我に死んだように見えていたが、ウッドワードは気づいてダッシュボードから拳銃を取り上げた。驚くジョーたちにウッドワードは「殺されるぞ」と脅しを入れる。「行け!」と拳銃を振り上げるウッドワードにジョーたちは取り乱して逃げ出す。そのとき遠くから迫っていたのは、近隣の空軍基地エリア51から駆け付けた空軍兵士たちだった。

「急いで!」とのアリスの叱咤に撮影資材を大慌てでまとめ、彼女の荒っぽい運転でジョーたちは急いで現場をあとにした。

Review :批評と解説

80年代の映画の雰囲気を出すためだと思うが、映像は当時の映画のようにまるでフィルムで撮影したかのような質感になっている。もちろん本当にスーパー8で撮ったわけではないだろう。作中のチャールズたちの映画はスーパー8で撮られているが。

もちろん『スーパーエイト』という題名は、作中においてスーパー8で映画作品が撮影されているからだけではない。スーパー8が主流だった頃の、あの時代の思い出を『スーパーエイト』という題で表現しているのだ。まだネットやスマホで我々の世界が狭くなる前の、人によっては窮屈になる前の、その直前の時代だ。

そして『スーパーエイト』は単にエイリアンやエリア51空軍との戦いや交流の物語ではない。実はそれらとの戦いはこの作品にとって傍流のプロットである。それらを通して描かれる家族との絆や友達との友情、そして葛藤、恋、こういったものが本筋である。ここのところを間違えると単なるエイリアン討伐SF映画と捉えてしまい、誤った評価を下すことになるだろう。

この作品の幾重にも入り組んだ細かいディテールと伏線とフラグ立ては圧巻で、細部まで練り込んで表現されている物語は素晴らしいの一言に尽きる。

ジョーの母親への思いと形見のロケット。忘れられない妻への思いを息子に転嫁せざるを得ない父ジャックの葛藤。列車事故を生き残ったジョーが形見のロケットを握りしめているのを見たときのアリスの表情。そんなアリスのジョーへの気まずい思い。そしてアリスの父ルイスの苦悩。それぞれの親子同士、子供同士の理解と許し。ジョーの母親の死を受け入れ、前に進もうとする人々。

アリスを助けに行こうというジョーやチャールズたちに加わらないMOBキャラの友人プレストンや、カメラ屋のあんちゃんダニーさえ蔑ろにされずストーリー上重要な役割を与えられている。

そして最後明らかになるエイリアンの表情の造形

この作品は、オマージュしたという『E・T』や『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』といった80年代の金字塔映画に全く引けを取らない。いや場合によっては上回ってさえいる。

難しいことを言わず、40代50代も楽しめつつ、もちろんそれでいて現在の10代にもフィットしてくる。

辛口の “Rotten Tomato” も馬鹿みたいな高得点だ。

わたしにとって『スーパーエイト』は何度も見返したくなる作品のひとつになった。そういえばかつて『スタンド・バイ・ミー』を馬鹿みたいに何度も見返していたことを思い出したよ。

<おわり>

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