『メン・イン・ブラック:インターナショナル』 :帰ってきたのか?MIB

評価★★★☆☆
原題Men in Black : International
公開2019
時間115 min
監督F・ゲイリー・グレイ
出演クリス・ヘムズワース
テッサ・トンプソン
リーアム・ニーソン
レイフ・スポール

Trailer :予告編

ド・リンク

First Impression :まえがき

それなりに面白いMIBの新作。

それなりには面白い、ウン。だがなんかこれまでのシリーズに比べて、上の方からプレス機で「グン」って押さえつけたような感じがする。

キャラもギャグもディテールもテンションも上から「グン」ってされてる。

そこはかとなく『ゴーストバスターズ』のリブートと同じ香りがするが、

それはどっちもクリス・ヘムズワースが出てるという理由からだけじゃない。その裏にはポリコレ棒に対する予防線か、あるいは心理的萎縮があるのでは? あるいは子供向けに調整した?

うどんのコシと同じで、風刺や社会問題への提起はなければないでいい

だが配慮するあまり心理的萎縮が醸成されてしまったとしたら、それは面白さを損なうことにつながる。わたしは「面白さよりもポリコレ的正しさを選ぶべきだ」とは思わない。もっともこれも程度の問題ではあるが。

Plot :前半のあらすじ

モリ-・ライト(テッサ・トンプソン)には幼少の頃、家にエイリアンに侵入された経験があった。モリーの二階の部屋からは、玄関前でメン・イン・ブラックが両親と凶暴なエイリアンが逃げ出したと会話しているのが見えた。

だがモリーが自分の部屋で見たそのエイリアン「タランシアン」は可愛くて、とても害がありそうには見えなかった。 モリーは、両親がMIBによってエイリアンの記憶を改竄させられる、つまり「ニューラライズ」されるのを見る。

だがその光景を二階から見ていたモリーはニューラライズされなかった。

大人になったモリーはMIBになることを夢見ていた

FBIにもCIAにも就職することが可能なほど有能なモリーだったが、MIBが一体どこの機関なのかはさっぱり見当がつかなかった。モリーは仕方なくPCテクニカルサポートのアルバイトでお茶を濁していたが、仕事中に自分のPCがハッキングしたNASAのエイリアン情報を捉える

モリーは街に出てハッキングした情報からエイリアンとそれを捕まえたMIBを発見。彼らを追跡してついにMIBの隠された拠点を突き止める

黒服を着てMIBの振りをして拠点に潜入するモリーだったが、簡単にバレてしまう。不法侵入者としてモリーはエージェントにニューラライズされかけるものの、必死にエージェントを説得して、取り敢えず見習いの「エージェント・M」としてロンドン支部に配属される。

実力を評価されたいモリーは、 ジャバビアンの王族ヴァンガスの護衛任務を命じられたエージェント・H(クリス・ヘムズワース)に自分を売り込んだ。Hは上司のエージェント・ハイT(リーアム・ニーソン)から、ジャバビアンの王族ヴァンガスの護衛任務を命じられていた。

Hとモリーはヴァンガスが楽しんでいるクラブに到着。酷く酔っ払ったヴァンガスを車に載せホテルへと送り出すが、その車は謎のエイリアン二人組みに爆破される。

二人組のエイリアンと交戦中、モリーは瀕死のヴァンガスから「MIBは怪しい。これを守れ」と、怪しく光る宝石を手渡される。幸いMIBの増援を得て二人組のエイリアンを退却させることは出来たものの、モリーたちはヴァンガスを死なせてしまう。

Review :批評と解説

ウィル・スミスのバージョンから比べれば、正直パワーダウンしている感は否めない。特にシリーズ最高傑作の『MIB3』と比べたら、誰でもそう思うに決まっている。

だがわたしは新しいプロセスを開始したことは評価する。ウィル・スミスのシリーズは完全に『MIB3』で完結した。あれを引っ張り続けるべきでなかったことは確かだ。それはそれでいい。

この作品に関しては、もうちょっと物語に深みが欲しかったというのはある。例えばもっと伏線を効かせて欲しかった。結局それらしいのがエイリアンのタランシアンや、エージェントHが世界を救ったと思われていたところだけというのはいかにも寂しい。

ハイヴなる所謂ラスボスの存在感のなさも問題だ。途中でエージェント・HとMを追ってくる二人組は非常に強く倒しでのあるキャラで、造形もなかなか素晴らしいキャラだったが、結局あっさりと退場してしまう。果たしてハイブを変身させる必要があったのかすら疑問で、もうちょっと上手くストーリーに絡め込むことは出来たのではないか?

またエージェント・Mとエージェント・Hの息はそれほどあってないし、特にMは弾けてない。テッサ・トンプソンはもはや新人女優でもないし、俳優歴もそれなりではあるが、ウィル・スミスには及ぶべくもない。

それがテッサ・トンプソン自身のせいかどうかだ。制作段階で相当な混乱があったのは確かなようで、どうも移民問題などについて風刺的プロットが予定されていたが、書き直されたらしい。クリスもテッサも最初の脚本で役を引き受けたと言うから、途中で書き直されたらそりゃ士気も下がるだろう。

やはりポリコレ棒でぶん殴られないようにと意識したのではないかと考えざるを得ない。臭いものには蓋をする感じで上から押さえつけたんだろうね。

テッサ・トンプソンもあえて新人らしい初々しい演技を心がけたのかも知れないが、残念ながらそれは『MIB』には相応しくなかったかもしれない。

とはいえ、最高ではないからと言って、すなわち最低にはならない

単体で見れば、そこらへんのぽっと出の映画よりは遥かに面白い。『MIB3』の続編として見なければ──及第点ではある。

<おわり>

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