『ゴーストバスターズ』(2016) :寒いのはゴーストのせいじゃない

評価★★★☆☆
原題Ghostbusters
公開2016
時間116 min
監督ポール・フェイグ
出演メリッサ・マッカーシー
クリステン・ウィグ
レスリー・ジョーンズ
クリス・ヘムズワース

予告編から低評価

この作品は公開される前から非常に評価が低かったのは覚えている。特にバスターズのメンバーが全員女になったことが問題だったようだ。この状況は米国でも同様だったようで、YouTubeで公開されたトレーラーは低評価が上回ったようだ。

言うまでもなく1984年の最初のゴーストバスターズは映画史に残る伝説的な作品である。脚本もキャストも、そしてジョークも当時として秀逸だったと言える。それを乗り越えるのは至難の業だろう。

リブートの話を聞いた時、正直私は多分上手く行かないだろうな、と思った。なぜなら今ここでゴーストバスターズを、主人公を全部女性に置き換えて作り直すということに、漠然とだがセンスの微妙さを感じ取ったからだ。そして、ああ、案の定だったぜ。


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だいたいスベってる

主人公が女性四人、まあここまでは良しとしよう。しかしクリス・ヘムズワースというイケメン俳優におつむが弱い受付という脇役をやらせた時点で、いわゆる前世紀的なコメディ映画におけるジェンダーを転倒させた、フェミニズム色の強い作品だという先入観を生む元になってしまった。制作陣は、あるいはこれを立場を反転させるというギャグへと昇華したのだと思っているのかもしれないが、無論失敗である。コメディ作品の裏にポリティカル・コレクトを、しかもこんなにもわかりやすい形で忍ばせたのは完全に筋悪だ。

しかもこの映画に出てくるジョークの数々のほとんどがスベっている。色々詰め込んでるけれど、何やら空気感も全体的に薄っすらとしたサムさが漂っている。舞台に出てきた芸人が馬鹿みたいにハイテンションなのに、ネタが激しくつまらないので、相乗作用ですごい雰囲気になるヤツに似ている。いや2016年にその体(てい)で来る?みたいな感じである。

例えばエリンがスライム絡みになるというジンクスは完全にスベっているし、そのフラグを回収しもしない。まあ回収したとしても多分面白くはないが。

スープに具が殆ど入っていないと常に怒るアビーが、後にワンタンがぎっしり詰まったスープを受け取るというギャグになってないギャグ。こちとら予想済みや。何がおもろいねん。

パティのおじさんの霊柩車のくだり。これもよくこんなもん入れたなというつまらないエピソード。兄さん、いや姉さん、2016年でっせ?

そして最後、ニューヨークのビル群に「ありがとうゴーストバスターズ」の窓文字。いや流石にきっついわ。だいたいそこまで市民との交流なかったやろ。

上に挙げたのはほんの一例に過ぎず、ひどいのはもっとある。

キャラクターもストーリーも弱すぎる

まずカメオ出演のビル・マーレー、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガニー・ウィーバー、そしてオジー・オズボーン。主人公キャストの存在感の弱さへのフォロー、及びリブートの箔付けのために利用された感満載のこの布陣には哀しみしか感じない。

アクションも大したものではなく、追加実装された対ゴースト兵器もインパクト皆無。おまけに四人のキャラ性も激薄。キャラで一番マシだったのがクリス・ヘムズワース演じるケヴィンってどういうことなの。

あえてこのフェミ路線で行くと強行突破するならば、Aチームも弾け飛ぶくらいのキャラクターを用意すべきだった(Aチームのリブートも微妙だったけど)のに、せいぜいねずみ花火くらいの個性。いやはや、本当に何をしたかったの?キャメロン作品くらいの女の強さを求めるのは、求め過ぎなのでしょうか?

そして一線を超えずにずっと低空飛行を続ける物語。色んな部分に感じられる振り切れないぬるさ。 プロットに感じる借り物臭。時に冗長で、ビル・マーレーのくだりや、市長のくだりなど無用なシーンも多い。色んな所で出る科学的セリフも退屈さを助長させるだけなのでいらない。態々ノックスの「中国人」を出す必要はないですよ。

良いところ、あるのかなあ

悪いところばかり挙げたが、良い部分と言えば、そうだな・・・、まずサムいだけでイライラすることは少ない。登場人物たちが不条理、非合理的な行動ばかりして視聴者の怒りを助長するというようなことはない。そしてギリギリサムいところに留まっているので(イタいところまでは行かない)、共感性羞恥を呼び起こすまでは至らないので安心というところ。うん、我ながらこれは褒めてないね!

最後に、評価をどれくらいにしようか迷ったけど、低調だけどそこまでつまらなくはないし、四回くらいはクスリとしたし、イライラしなかったので星★★★にしました。スタッフロール時のクリスの変なダンスはキュートで良かったです。多分この映画で一番面白いシーンだと思いますですはい。これまでクリス・ヘムズワースはそれほど好きな俳優ではなかったけど、この映画で好きになりました。

<おわり>

 

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