『ロスト・エリア -真実と幻の出逢う森-』退屈と眠気を誘う林

評価★☆☆☆☆
原題Driftless Area
公開2015
時間95 min
監督ザカリー・スルーザー
出演アントン・イェルチン
ゾーイー・デシャネル
ジョン・ホークス

First Impression ─まえがき

何を考えてこんな退屈な作品を作ったのか意図がわからない。さすがに色々疑わざるを得ないレベルの物が揃っている。複雑で何を言いたいのかわからないプロット、薄すぎるストーリー、魅力がなさすぎるキャラクターたち、間抜けな描写、つまらないガジェットと映像。2015年にこの作品が世に出て日本にまで渡ってきたという事実にある種の戦慄を覚える

別の観点から言うと、この作品はカルトな迷作になる可能性を秘めている。もうちょっと弾けた何かがあったら、確実にそうなっていただろう。


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Plot ─前半のあらすじ

ピエール(アントン・イェルチン)はある女性に送る花を買った帰り道にヒッチハイクをしていた。帰路の最中にピエールの車が故障したからだ。

運良く一台のピックアップを捕まえたものの、そのドライバーのシェーン(ジョン・ホークス)はガス代として20ドル払えという。おまけにピエールは買った花をも奪われる

ムカついたピエールは持っていた石を走り去るピックアップに投げつけると、石は運転するシェーンに命中し、気絶したシェーンの車は道を外れて停車した。

ピエールは花を奪い返し、おまけにシェーンが持っていた大量の現金入りの鞄をも持ち去る

時間は少し遡る。ピエールは近所の森を散策中、使われていない井戸に落ちる。井戸の中には手がかり足がかりになるものがなく、ピエールは一昼夜を井戸の中で過ごす。

翌日ピエールはステラ(ゾーイー・デシャネル)という女性に助けられる。ステラはその井戸の敷地にある家に住んでいた。

ピエールはステラに恋心を描くが、ステラはピエールに隠していたことがあった。ステラは実はすでにこの世のものではなく、放火によって起こった火事で死んでいたのだ。

一方事故から回復したシェーンは、カネを取り戻すためにピエールを探し始める。

Rview ─批評

まず視点が錯綜しすぎだ。ピエールの視点、シェーンの視点、ステラの視点、全部の立場を描こうとして物語があっちこっちに飛ぶうえに、何のためにあるのか理解不能なシーンが多い。なお序盤では時系列も錯綜している。なお狂言回しみたいな立場のキャリーという女性がいる。だがキャリーが何のためにいるのか分からない。

おまけに登場人物全員が安物のクサでも一発キメてんのかというくらいスローな速度でしゃべる。もちろん会話もつまらないし、ジョークなんて一切ない。そもそも主人公ピエールを演じるアントン某はかなりの「棒」であり、もちろんデシャネル妹も「棒」である。なお脇役もほぼ全員が「棒」。なんやこれ。演技指導してるやつが問題か。

主人公から見れば敵に当たるシェーン含む「麻薬組織(日本のオフィシャルなあらすじにはそう書いてある)」は、昔のアニメとかに出てくる定番の悪役みたいな連中である。とても「組織」なんて呼べるものじゃなくて、トラッシュホワイトの田舎のおっさんが裏では悪いことやってたくらいのもの。もちろん全員が低能の馬鹿であることは言うまでもない。

多分ストーリープロットを超解釈するに、ステラを介してピエールとシェーンの運命が交錯するみたいなことが言いたいんだと思う。

ステラがいなければ(といっても作中の時点ではすでに死んでいるが)ピエールは井戸から助からなかったし、その井戸から助かったピエールがいなければシェーンもカネを取られることがなかった。そしてシェーンはステラを焼き殺した張本人というわけだ。

最後にはピエールはシェーンを罠にはめて返り討ちにするが、ピエールもまたシェーンに撃たれて死んでしまう。そしてピエールがステラと一緒になってめでたしめでたしというわけだ。見ている方もやっと退屈な映画が終わってめでたしめでたしだ。

というわけで、この作品は最初から最後まで、笑えないコントみたいなシーンが続く。それぞれのシーンの最後で上からタライでも落としてツッコミが入れば、それなりに面白いものに仕上がっただろうに。

なお音楽も酷い。

<おわり>

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