『レプリケイト ─襲撃─』 :エイリアンのくせに手の込んだことを!

評価 ★★★☆☆ 
原題 Assimilate 
公開 2019 
時間 93 min 
監督 ジョン・マーロウスキー 
出演 ジョエル・コートニー 
ケイラム・ワーシー 
アンディ・マティチャック
 
キャサリン・マクナマラ 

First Impression :まえがき

エイリアン系クリーチャーの侵略物ホラー

この手の作品は『ゼイリブ』という一部で絶賛されたB級カルト映画を思い出す。

人間に化けたエイリアンが気づかれることなく静かに人類侵略を開始していたというモチーフ

この『レプリケイト』はそういったホラー的要素をそこら辺から引っ張ってきていてオリジナルのものは少ないように思われるが、それでも結構面白かった。

ホラーが始まる前に主人公ふたりが自分たちの町を撮影しながら登場人物や場所を紹介しているグダグダシーンはいらないが、そこを乗り切れば少しづつ楽しめるようになってくる。

一応言っておくとPOVではない。POVらしいのは序盤だけで普通の映画です。POV嫌いのわたしも安心。


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Plot :前半のあらすじ

ザック(ジョエル・コートニー)とランディ(ケイラム・ワーシー)はミズーリ州の町モルトンに住む親友同士。ふたりともつまらないこの田舎町が気に入らない

そのために町の様子やスキャンダルなどをこっそり撮影し、SNSにアップして町を出る資金にしようと考えていた

その夜、町を出たらどうするかと夢を話しながら町を歩いていたザックとランディは、近所の家から悲鳴が上がるのを聞く。

床に血痕が続く屋内の異様な雰囲気にふたりは保安官に電話するが、保安官は話も聞かずなぜかすぐに電話を切ってしまう。

二階の奥の部屋には家の主であるビセット婦人が隠れており、恐怖に駆られながら何かに太ももを噛まれたとふたりに訴えた。その刹那、部屋の窓を割って何か小さい生物のような影が素早く逃げて行く

その影を追って外へ出たふたりは、町の牧師グレッグがその小さな生物をクーラーボックスに回収したのを遠目に目撃する。

翌日ふたりは副保安官ジョシュに昨夜の騒動の映像を見せたものの、フェイク映像だと言われ全く信用されない。

ザックとランディは直接グレッグ牧師を問い詰めに教会へ行くが、グレッグは無表情でふたりに応対する。牧師はこの間までの親しみ深いグレッグ自身とは全く雰囲気が一変しており、謎の生物を回収したのは私ではないと否定。しかも奥の部屋には保安官他、町の有力者が同様に異様な雰囲気で集会していた。

ふたりはさらに再度ビセット婦人に会いに行くが、彼女も昨夜の出来事を否定した。傷を負ったはずだとザックは婦人を問い詰めるが、ビセット婦人の太ももからは昨夜の傷は消えていた

ビセット婦人から寝室へと案内されたふたりだったが、その怪しさから断る。ふたりは外からこっそりとビセット婦人の寝室を覗くと、学校の友人ディランがベッドに寝ているのが見えた。

その瞬間、突然ふたりは窓ガラスを覆うようにしたディランに覗き返される。ディランはまだベッドに横たわっていたはずなのに。その時確かにディランはふたり存在していたのだった。

ザックはそれらの映像を両親に見せるが、「空想はやめろ」と両親すら取り合ってくれない。途方に暮れるザックたちだったが、そこへ友人ケイラ(アンディ・マティチャック)が現れる。ケイラは彼女の父親も様子がおかしいとふたりに訴えた。外見も声も同じだが、まるで中身が別人のようだと。さらに母親と弟ジョーイの姿も見えなくなったと。

三人は何が起こっているのかカメラで記録するべく、ケイラの父親に会って詳細を聞き出すことにする。

Review :批評と解説

こういったホラーものに登場するエイリアンの造形はたいてい決まっていて、だいたい虫系の気持ち悪いやつである。多分人間は潜在的に虫が嫌いだ。

この作品に登場する謎の生命体も虫系である。エイリアン系列だと思われるが、どういう経緯で地球までやって来たのかは作中で説明されない。

ただやや面倒くさいのは、このエイリアンが人間に成り代わるプロセスだ。最初に小型の虫型生物が特定の個人を噛むことでDNAを取り込み、半日足らずの短期間でその個人の姿かたちをクローン、そののちにクローンが本来の個人の記憶を吸い取って殺害、という流れ。

多分「成り代わられた個人」という設定を成り立たせるべく苦心したか、あるいは「一時的に同じ姿の『人間』がふたりいる」という部分に固執したんだろう。

このコピー過程はやっぱり冗長過ぎるので、虫かクローンのどちらかをばっさりカットしたほうが良かったのではないかと思う。

おかげで「エイリアン虫に噛まれる」「コピー人間に追いかけられる」と、恐怖ガジェットがふたつ存在して、おっかない対象が分散してしまった。これはあまりおよろしくないのではありませんか?

また「町を出ていきたい若者が、結果的に町を救おうとする」というプロットや、SNSを利用して真実を拡散しようとするプロットもアイディアは良いが、未消化に近い形で終わってしまっている。

このへんを伏線絡みで上手く処理できていたら、かなり面白い作品になっていたかもしれない。

例えば、作品終盤に、実は主人公たちの田舎町はエイリアン侵略の遅れた地域であることが暴露されるが、どうせなら主人公たちがエイリアン侵略阻止を成し遂げて、町の聖域化に成功するとかするとカタルシスが得られたかもしれない。予算的に無理だったかもしれないが。

<おわり>

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